1992.5.26
学校から帰ると
自宅がある市営住宅の敷地に入る前から
叫び声が聞こえてきた。
(母の怒号だ…)
そうわかると、
途端に気持ちが心の深い所まで
沈み込む…。
また何かトラブルが起きている。
もちろん、酒に酔った母が発端の。
敷地内に入ると
大声で汚い言葉で
父を罵倒している母が
駐車場に見えた。
そして
父の姿よりも先に
市営住宅の窓から外の様子を見ている人たちの姿が見えた…。
恥ずかしさで
顔が赤くなる。
同級生だって住んでいるのにと思った。
私の赤面した顔がすぐに
血の気が引いて青くなるのを感じた。
車に乗って
今にも母を轢き殺そうとしている
父の顔が見えたから…。
私は全速力で父の車に駆け寄った。
そして
パトカーのサイレンが聞こえてきた。